HTML Help

 HTML Helpは、HTMLベースのヘルプです。最近、アプリケーションのヘルプでchmという拡張子のヘルプが多くなってきましたが、あれですね。HTMLベースなので、スタイルシートやグラフィック、サウンド、さらにDHTMLJavaアプレットとさまざまなコンテンツを盛り込んで非常に表現力のある高機能ヘルプを作成できます。基本的にWeb上でできることはほとんどできる上に、HTML Helpにすると「コンテンツ内文字列の全文検索機能」が利用できます。つまり、HTMLファイルを集めてHTML Helpにすれば、それだけで「サーチエンジン」として利用できるわけですね。索引をわざわざ作らなくても、思いついた言葉を入力すればその言葉が含まれるコンテンツを列挙してくれます。
 さらに、作成する側にとっても作成環境が無償で公開され、比較的手軽にヘルプを作成することが可能です。コンテンツのファイル群は圧縮された状態で一つのファイルにまとめられるので、配布が楽なのも大きな利点でしょう。

 今回は、このように便利なHTML Helpを実際に作ってみることにしましょう。といっても、感覚的にはWebページを作るのと大差ありません。普通にHTMLを書いてグラフィックなどを用意すれば、後は簡単な作業でHTML Helpにできます。

HTML Helpの作成

 HTML Helpを作るには、HTML Help Workshopが必要です。MSDN LibraryのページでHTML Helpで検索し、ダウンロードページからHTML Help Workshopをダウンロードしてインストールしておいてください。

 では、実際にHTML Helpを作ってみましょう。まず、HTML Helpにするために適当なHTMLファイルをいくつか用意し、それを適当なディレクトリにコピーしてください。続いて、HTML Help Workshopを起動し、メニューのFile-Newで新規にProjectを作成します。ここではいくつかダイアログが出てきますので、プロジェクトのファイルをHTMLと同じディレクトリに適当な名前で作成しておきましょう。プロジェクトファイル名以外は指定しないでください。

 プロジェクトを作成したら、HTMLファイルをpageとしてHTML Helpに追加します。まず、初期状態で選択されているProjectタブにあるAdd/Remove topic filesツールボタンをクリックしてトピックファイルダイアログを出してください。ここで、HTMLファイルをTopic FilesADDしておきます。この時、ファイル選択ダイアログではShiftキーを押しながら一度に全ファイルを指定すると楽ですね。

 トピックにHTMLファイルを追加したら、ウインドウの左側上にあるContentsタブをクリックしてください。そしてCreate a new contents fileでコンテンツファイルを作成します。コンテンツファイルができたら、Contentsウインドウの左側にあるボタンからInsert a pageをクリックしてページ追加のダイアログを出してください。ここで、適当なタイトルをつけてHTMLファイルをページとして追加してみましょう。すべてのファイルを追加したら、Projectタブの下にあるツールボタンで保存・コンパイルします。これでプロジェクトを作成したディレクトリにHTML Helpファイル(chmファイル)ができているはずですので、ダブルクリックして実行してみてください。ファイルサイズを見ると、圧縮の効果で全ファイルの合計より小さくなっている場合が多いでしょう。

 以上でとりあえず、「いくつかのHTMLファイルをまとめ単独で配布できるHTML Helpファイル」ができました。ただ、ここで作成したファイルではまだ全文検索はできないので、全文検索のための情報を付加しましょう。

 全文検索情報の付加は簡単で、Projectタブのoption設定ツールボタンからCompilerタブを選び、Compile full-text search infomationをチェックするだけです。再度コンパイルして(今度はやや時間がかかります)実行すると、「検索」タブが追加され全文検索が可能になっていますね。全文検索のほかにも、indexタブでキーワードとそのキーワードに対応するページを設定することができます。これで、簡単に「索引」を作れるわけです。

HTML Helpによる「カタログ」

 今回は、HTML Helpの実例として、プログラムライブラリにあるソフトダウンロードページを元に「カタログ」を作ってみました。作り方は簡単で、この中からいくつかのソフトのダウンロードページと画面写真のpngファイルを新規に作った作業用ディレクトリにコピーし、リンクを書き換えてHTML Helpとしてコンパイルしただけ。実際のソフトダウンロードは、ネット上のファイルにリンクしています。

 Windowsでは、HTML Helpへのリンクをクリックして「開く」を選ぶと直接実行できるようです。実行したら、HTML Help内のコンテンツを表示し、右クリックでソースを見てみましょう。画面写真は、相対リンクで同じ場所(HTML Helpファイル内)にあるファイルを表示しているのを確認してください。

 このように、HTML Helpは簡単に作れ表現力も優れています。配布も楽ですので、これまで多くのHTMLファイルと画像ファイルなどで構成してきたオンライン小説などをHTML Help化するのも良いでしょう。HTML Helpにしておけば、配布も楽で索引や全文検索機能を簡単に追加できます。まあ、閲覧環境がWindowsに限定されてしまうという欠点もありますが....。

HTML Help実行

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