赤い羽根共同募金の92%は町内会(自治会)集金

今年もそろそろ10月。赤い羽根共同募金が始まる季節が近づいてきました。

赤い羽根共同募金は、主に自治体の関連団体/天下り団体である社会福祉協議会の資金集めを目的に行われていますが、大半を町内会(自治会)組織に集めさせています。社会福祉協議会/共同募金会が行政を通して町内会に集金額(事実上のノルマ)を割り当て、強制的な雰囲気の中で住民(特に町内会の班長)を集金活動に協力させる仕組みが作られている地域も少なくありません。

私が住んでいる茨城県つくば市の共同募金会のサイトを見ると、昨年2014年度の赤い羽根共同募金の集金額のうち実に92%が町内会に集めさせる戸別募金によるものでした。さらに歳末たすけあい募金では、町内会による集金が97%だとか……

赤い羽根の募金ボランティアは強制動員

赤い羽根共同募金は、「民間の募金運動」とされています。しかし、実際には住民が「ボランティア」で集まって募金運動を行うのではなく、行政主導の強制的な「動員」で資金集めを行わせる仕組みになっているのが現実なんですよね。

私の地区でも、毎年10月後半に社会福祉協議会から示される割当額と集金予定を知らせる文書が配布され、町内会の班長が各家庭を回って徴収業務をさせられることになっています。

町内会や社会福祉協議会関連のサイトを見ると、今年も既に市役所や市長、社会福祉協議会などから「募金の要請」を受けて赤い羽根共同募金の準備を進めている町内会も多いようです。町内会の班長が回って来た方の中には集金当番として赤い羽根共同募金の徴収活動(戸別募金)に回らないといけない、という方も多いかもしれませんね。

募金運動の趣旨に賛同するボランティアが集まって募金活動を行うのではなく、役所が決める「町内会の仕事」の一つとして町内会の班長が「民間」を自称する役人組織のために集金活動を行うよう強制される……自らの意志ではなく「当番」として。

あるいは、赤い羽根共同募金の「寄付」が町内会費とまとめて強制徴収されるケースもあり、こちらも裁判で違法判決が確定するなど問題になっています。

こんな非人道的な強制動員/強制徴収システムが70年もの間公然と行われて来た現実には、ただ唖然とするばかりです。

日本赤十字社の「社資」にしてもそうですが、こうした一般市民を天下り団体の資金集めに巻き込んで集金活動のために強制動員する仕組みって、どう見ても「募金」じゃないですよね……実際、赤い羽根共同募金の開始直後から町内会に集めさせるべきではない、とずっと言われて来ているわけです。

ゴミ集積所などの問題から、町内会が事実上の強制加入になっている地域も多いですから…

行政を通して断りにくい町内会に集めさせることで事実上の強制にしてしまう、町内会の役目として資金集めに「回らないといけない」/断りにくい雰囲気の町内会集金に「割当額を差し出さないといけない」状況に追い込んでしまう……「じぶんの町を良くする」のなら、まずは赤い羽根共同募金のような陰湿な強制動員システムを廃止すべきなのかもしれません。