カタールを語る

カタールにとーっても詳しいちゃあさんが語ってくれたアラビアワールドを、皆さんにも是非、堪能してもらいたいと思いこのページを作りました。ちゃあさんは、みなさんもよくご存じ「純子のお部屋」によく登場している方です。私も相当のあまのじゃくですが、ちゃあさんも相当のあまのじゃくです。なぜ、あまのじゃくなのか、それは、「カタールを語る」を読めば判りま〜す。 では、「カタールを語る」お楽しみくださいませ〜! あなたの知らない世界、アラブの女の園がここで覗けま〜す!


1 なぜ、今、カタール??

大学で第二外国語としていくつか設けられていた言語の中にアラビア語があった。
アラビア語のテレビ・ラジオ講座なんかないために、独学でやるのが難しいということと、他の人たちがあまりしないことをあえて挑戦したいと思う「あまのじゃく」根性により、アラビア語を選んだ。アラビア語を勉強し始めてから、アラビア語の音の美しさと、挨拶の言葉の美しさに惹かれ、アラブ文化についても関心を持ち、図書館にあったアラブに関する本を読み漁る日々だった。ちょうどその頃、夏休みを利用して当時勉強をしていた姉を訪ねて1ヵ月ふらっと行ったイギリスで、姉のアラブ人の友達と出会った。イギリスで出会ったアラブ人は皆、ジョークもおもしろく、とにかく一緒にいてとても楽しかったという印象が強かった。そこでますます彼らの文化と習慣に興味を持った。そしてお金を貯め、1996年の3月、大学の春休みを利用して姉と初めてアラビア半島に旅行をすることになった。行き先はカタールとアラブ首長国連邦(U.A.E.)。
カタールとU.A.E.を選んだのは、イギリスで出会った仲の良いカタール人とU.A.E.人の友達がいたから。カタールの首都ドーハは1994年のワールドカップで日本があともう一歩のところで本選行きを逃してしまった「ドーハの悲劇」としてスポーツ愛好家の日本人には特に知られているが、ほとんどの人にとってドーハはどこに位置するかも知られていないのが現状だろう。 また某ガイドブックには「世界一退屈な街」と見事に表現されてもいる。 実際行ってみると…確かに退屈な街と表現されてもおかしくないです、ハイ。 しかし、私たちにとっては何故か、U.A.E.よりもカタールの方が断然楽しかったのだ。本当に明確な理由はいまだにわからない。普通の人なら誰だって、カタールとU.A.E.ならば絶対にU.A.E.の方がおもしろいと思うはず。しかし、そこがやはり「あまのじゃく」なんでしょうか?? 以来、私も姉もすっかりカタールにはまってしまい、私は卒業論文としてのリサーチペーパーでカタールをフィールドにして書こう、と決めたのだった。それから1年後の1997年3月、再びカタールへ。3回目のカタールは2回目からわずか半年後の1997年9月。就職活動で希望の職種で内定を頂いてからほっとしたところで行って来た。この時は2週間という短期間で大学のゼミのリサーチペーパーの調査としてフィールドワークを中心に進めた。4回目、無事リサーチペーパーを書き終え、提出したところで学生最後の旅行でカタールへ。…とまぁ、私のカタール・バックグラウンドはこのような感じなのである。


2.カタールにおける異性間(男女間)コミュニケーション
(ま、早い話がナンパっすね)

大学でのゼミは異文化コミュニケーション演習というものだった。
そこで、「カタールにおける異性間コミュニケーションと結婚の概念〜価値観の一考察」というテーマでリサーチペーパーを書くことになった。このテーマに至った理由にはまず、カタールが他の湾岸諸国であるU.A.E.やオマーンに比べ、男女間のコミュニケーションに関しては保守的であると思ったからだった。同じイスラームで何故このような違いが出てくるのか、その背景を調べてみたかったからである。ヴェールに隠れてなかなか見ることのできないカタール女性の素顔や本音を聞いてみたいとも思っていた。
カタールでは小学校から男女別、日常生活でも徹底して男女の区別がある。----ここで誤解されがちなのだが、これは差別とは違い、平等というもとでの「区別」なのである。---- カタールではこの男女の区別がとても明確で、たとえば、家族のみのときは関係ないが、一般の家庭に男性用と女性用のリビングルームがあるし、家にbrotherの友人が遊びに来たとしてもsisterはその友人にあいさつをしに顔を見せに行くことはまずありえない。夫婦間についても同じで、夫の友人が来ても妻は接待をするために会うことも普通はない。
とにかくカタールでは、私たち日本人にとって当たり前の「男友達」「女友達」という異性の友人というものは一般的に有り得ない状態なのである。「異性の友達=ボーイフレンド・ガールフレンド」という概念が一般化している。家族以外の異性と歩く人はいないし(断言はできませんが)、婚約者同士ですら、公の場でデートをしない。
カタールでの男女間コミュニケーションは、一体どうなっているのか??一見ないように思われるが、他の国や文化で若い人たちが異性に関心があるのと同じように、カタールの若い人も関心が大ありなのだ。そしてナンパなるものも存在する。----でもさ〜、どうやってナンパするの???----って不思議に思われることでしょう。私も初めてカタール人の友人にその事実を聞いたときはそう思った。その方法をいくつかご紹介いたしましょう。

(1)ショッピングモールやスーク(市場)で....男の子が気になる女の子の近くで自分の携帯電話、またはポケットベルの番号の書いてあるメモを落とす。女の子は応じるならそのメモを拾う。女の子は目以外の顔全体を隠している人もいるので、容姿は分からなかったり、結婚している人もいるかもしれないので、ナンパをするほうにしてみればスリルがあるんだそうな。-----こんなのホントにあるのかよ〜!!と最初は半信半疑、というか私はほとんど信じていなかった。しかし、いろいろなカタール人の友達が(男も女も)同じようなことを言っているので、「う〜ん、どうやら本当らしい」と思い始めた頃、ナンパの現場に出くわした!! それは、カタール人の女の子の友達と一緒にスークを歩いているときだった。1人のカタール人男性が携帯電話で話しながら彼女をじ〜ぃっと見て、すれ違いざまにその男性はずっとアラビア語で数字をブツブツとつぶやいていた。そう、彼は電話で喋っているのではなく、喋っている振りをして自分の電話番号かポケベルの番号を彼女に教えていたのだ!!「ははぁ〜ん」と思ったところで彼女は私に「今の見た?彼は私に自分の番号を教えていたわ」と。 私が「それで、彼の番号を暗記したの?」と聞くと、「No。興味なかったから」と言ってました。ひゃ〜。

(2)車で運転中のナンパ法--私と姉は2回目にカタールに行ってから、レンタカーを借りて行動していた。1997年9月の滞在中、ちょうどワールドカップ98のアジア予選であるカタール対クウェートの試合があったので、見に行こうとしてスタジアムに車で向う途中、私たちはきちんと調べなかったため、道に迷ってしまった。ぶらぶらと運転をしているとき、ふと気づくと私たちの後ろにずーっと同じ黒のメルセデスが走っていた。しばらくすると、黒のメルセデスは私たちの車に並行させて走っている。助手席に乗っているカタール人の男の子が私たち側の窓にボードを掲げ出したのにはビックリ。それは横幅60cmくらいのボードでアラビア語の数字が書いてあったのだ〜!!!これまた電話番号。ちょうど道に迷っていたので、「スタジアムへの道を教えて下さい。」と電話してみると(私たちは携帯電話もレンタルしていました)、親切に丁寧に道を教えてくれた。そして、「カプチーノでも飲みにいこう」とのお誘い。でもサッカーの試合は逃せられない!と、断った。ところで、車の窓から見せていた電話番号の書いてあるボードというのは、どう見てもあれは手書きの手作りの看板ではなく、看板屋さんか何かで作ってもらったようなもので、アラビア語の数字は活字体だったし、看板の素材もダンボールとかじゃなく、きちんとしたものだった。きっと、ナンパに活用するため「きちんとしたものを作っておこう!」とでも思ったのかな???----とまぁ、これらの出来事を見るとカタールでのナンパのキーワードは電話番号ということがわかる。ここまでを見るとナンパをするのは男の子ばかり??と思うけれど、ナンパとはちょっと違うかもしれない、でも女の子からのアプローチだってあるのだ〜。

(3)まだ私が、「カタール人の女の子は私たちと違って純粋なのよ!」と、大きな勘違いをしていたときに、仲良くなったばかりのカタール人の女の子の友人(私と同い年)と一緒にいたときのこと。彼女の家のドライバーの運転するメルセデスの後部座席に私達は一緒に座っていたのだが、外から顔が見られるのが嫌なんじゃないかと思って、私が後部座席のカーテンを閉めようとしたところ、彼女は「カーテンは開けたままにしておいて」と言う。ハテ?と思っていたら、並行して走っている車を運転しているカタール人のお兄ちゃんがこっちを見てニコニコ顔ではないか!! 私の友人も、笑顔を振りまいている。私がまだ、“カタール人の女の子はウブなんじゃないの?”と信じていたときだったので驚きだった。

(4)女の子は家で1人でいるときなど、電話番号を適当にまわして(ポケベルの番号も適当にまわすこともある)、男性が出たらおしゃべりをする、ということをする。カタール国内は電話料金が無料なので電話なんていくらでもできちゃうのだ。それで、この先は男の子の友人に聞いたのだが、話が合った相手とは会うこともあるんだそうな。私はさすがにカタール人の男の子と女の子が会う、という現場に出くわしたこともないし、想像すらもできないけど、それはまんざらウソでもないようだ。まだまだナンパなどに関する話は、自分が出くわしたもの、カタール人の女の子から聞いたものなど沢山あるけれど、今回はここまでにしておきましょう。


.カタールの女の子って??

カタール人の女の子の多くは外に出るときは、全身を覆うガウンのような「アバーヤ」と、髪の毛を隠すヴェールのような「ヒジャーブ」、そして目以外の顔を隠す「ニカーブ」という布を身につけている。
でもこれはほとんどの女の子は「家族のお父さん、またはBrother」が付けるようにいうので付けるらしい。女の子だけのときはヒジャーブだけで髪の毛のみを隠し、顔は隠さず、家族といるときはきちんと顔も隠すという女の子は結構いる。顔を出す女の子に関しては少なからず、私の推測だが、男の子の視線を楽しんでいると思う。
異性に関心があるのはどこの文化でも同じだが、カタールの女の子も例外ではない。こういったことを正直に言うとカタール人に怒られてしまいそうだが、異性に関心があることなんてどの文化にだって存在することなので私は書いちゃいます。
さて、女の子の「顔を隠す」ことに関して、男の子側から聞いてみると、「自分のSisterには顔を出して外に出てもらいたくない。男の子の誘惑があるから。」というのをよく聞く。結局はすべてはナンパがあるためとも思われるのだが…。 さて、アバーヤの下は多くの人は仕立て屋さんで作った洋服を着ている。その服の柄やデザインは日本人の感覚だと日本では着れないような派手なデザインだったりする。若い女の子は、既製品の服も着ます。髪型に関しては、多くの女の子は「絶対長い髪の毛がかわいいに決まってる!」という概念を持っているらしい。ショートヘアの女の子については私はまだ見たことがないぐらいだ。肩ぐらいの長さでさえも数人しか見たことがないのだから。長さも、ある人によってはお尻くらいまで長かったりする。しかも忙しい生活をしていないからか、髪の毛の手入れはきちんとしているらしく、触るとホントに滑らかな髪なのだ。そのくらいの長さの髪の毛の女の子は、「ダンスをするときにこの長さだといいのよ。セクシーなの。」とか何とかいう人が多い。
彼女たちが好んで聞く音楽といえばやはりアラブ音楽。これはカタール人の女の子に限らず、ほとんどのアラブ人は男性でも女性でも外国にいようとアラブ音楽を好んで聞いている。私もすっかり気に入ってしまい、友達が車の中で聞いていたカセットテープをくれたり、カタールに行く度にCDやカセットテープを買ってきたりしたら、いつのまにかものすご〜く増えていた。日本でも家や車の中や、ウォークマンで電車の中で聞いている。人気のある、というかよく向こうで聞いたものはDiana Haddadや、Abdul Majieed。(アラビア語のアルファベットでのスペルはよくわからん)。他にも同じ歌手を何度か聞いたのだが、名前は覚えていません。ちなみに、Diana Haddad は、レバノン人。そしておもしろいことに、私がアラブ人の友達に「Dianaが好き」と言うと決まって、「Dianaの旦那さんはU.A.E.人で、テレビのプロデューサーなんだよ。知ってた?」とみんな言う。それだけガルフ(アラビア湾岸)の人にとって、ガルフ以外の人との国際結婚は珍しいものなんだなー、と思った。
他にカタールの女の子の興味のあることといえば、勉強を頑張っている子は勉強だが、多くの人にとっては「結婚」とか「男の子」なのではないかと思う。たいていの女の子は初めて会ったときに私たちに「single? Or Married?」と聞いてくる。私が「独身」と答えると、「婚約者はいるのか?」とか、「なんでまだ結婚を考えていないの?」だとかも聞かれる。そして「ボーイフレンドはいるの?」とも。(ちなみに、ここでいうカタール人にとっての「ボーイフレンド」とは、日本人の感覚で言うと「彼氏」「付き合っている人」の概念を持っているが、付き合い方そのものは、日本人の感覚で言うと「ただの異性の友達」といったまでのもの。)そして婚約者のいる女の子はその相手の話を楽しそうにし、まだ婚約者のいない女の子は、“将来の自分の夫となるべき人はこんな人がいい!”と語り始める人もけっこういたりする。私にとって不思議なのがその婚約者と数回しか会ったことがないのに、ものすご〜くロマンチックゥ〜〜にラブラブに語るということ。なかなか皆さんカワイイんです。一般的な日本の女の子との大きな違いを挙げるとすると、カタールの女の子は、とにかくみんなお嬢様育ちなのだ。各家庭に家政婦さんが1人はいるし(家政婦さんはたいていインド、パキスタン、フィリピンからの出稼ぎ労働者達)、平均的にカタール人は金持ちであるし、女性は大事に守られているので、周りの男性がたくさんのことを細かいところまでケアしてくれる。しかも社会に出る女性は教師、看護婦などの専門職以外ではあまりいないので、人に気をつかうことを基本的に知らないのだ。彼女たちの社会はとても狭いものである。普段の場で(公共の場で)見る限り、カタールの女性というものは私の目には「ふてぶてしい女の子達」と写ってしまっていたのだが、これが女だけの世界になるとも〜っと不思議な光景が見れるんですよ〜。


4.カタール大学女の園

私がカタール大学の女子棟にいった時の話をします。
カタールは、小学校から男女別、もちろん大学も別の棟にある。カタール大学の男子棟から女子棟までは同じ敷地内にあり、車でちょっと走ったところにるのだが、女子棟に入る前には検問所のように守衛さんが立っていて、踏み切りのポールみたいなものまである。そのなかはまさしく「女の園」。女子の校内の出入り口のところでは女子学生たちがニカーブといわれる顔を隠す布やヒジャーブと呼ばれる物を、学校から出るときは付けたり、学校に入るときははずしたりと、している。大学構内ではなんだかものすご〜く女の子が多く(あたりまえか)、いろんな所でおしゃべりを楽しんでいる人たちがた〜くさんいて、授業はどうしたんでしょう??といった感じ。これは日本の多くの大学でも同じだが、ここでは、「カルチャーセンター」みたいな印象すらあった。彼女たちの多くは、以前よりカタール人の女の子の友達から聞いた通り、おしゃべりを楽しむために大学に来ている、といった感じで、大学がホントにカタール人の女の子にとって「社交の場」と化しているのだ。確かに、ここではいろんな人に自由に会える、彼女たちにとっては比較的広い社会なのかも知れない。
ちなみに、カタール大学の男子学生と女子学生の比率は、3:7で圧倒的に女子の方が多い。その理由として私が考えたことには、1.大学の学費までも国が負担してくれている(もちろん税金はない) 2.男子学生は学歴に関係なく確実にホワイトカラーの仕事に就くことができるので勉強が嫌いor面倒なら大学に行かなくても何も困らない。3.海外留学に関しても国から援助金が出るので男子学生は留学する人も多い。女子の海外留学に関しては、ドーハ市内ですら女の子同士で出歩くことを好まないので、独身女性を単身で海外に行かせる家庭はごくわずかであること。…・といったことが考えらると思う。


5.カタールの結婚式ってどんなの?

「カタールのプロフェッショナル」になるには、ただの観光客ではダメ、徹底してその文化や習慣を見なければ!と思い、常々、結婚式も見たい〜と思っていた。
3回目(1997年9月)にカタールに行ったときにちょうど、カタール人の女の子の友達が結婚式に誘ってくれたので行ってみることにした。結婚式はたいてい夜に始まるので、友人が私たちの滞在していたホテルに迎えにきてくれたのは夜の9時。そして、ドライバーの運転する車で、ドーハで一番大きいホテル、ドーハシェラトン(1994年の「ドーハの悲劇」のときにはサッカーの日本代表の皆さんが宿泊していました)に行った。会場はさすがに広かった。結婚式の披露宴ももちろん男女別。男性の方は本で読んだことがあるが、まさしく男性だけだそうだ。女性のほうでももちろん女性のみに決まっているが、途中女性の方の会場に花婿と花婿の兄弟達の登場もある(花嫁が男性の会場に登場するということはない)結婚式に行く前に友達から「カタールの結婚式はおもしろいわよ。ダンスもするんだから。」と言われていたし、カタール大学以外で顔を隠していない女の人ばかりを見るのもこれまた面白そう、とワクワクしていた。
さて、会場に入ってみると、入ったとたん、ガンガンとアラブ音楽のライブで、その音がものすごい。楽団をよんで(楽団のメンバーも女性)演奏して歌手も歌っているのだが、音響がすごすぎる…。私たちが着いたときにはもう既に始まっていたようで、テーブル(日本のホテルでやる披露宴のように円卓があちらこちらにある)が人で埋まっていた。席は決まっていなくて、式自体もorganizedされてもいない。一体この結婚式はいつからどんな状態でスタートしたのかとても知りたくなった。空いている円卓をみつけ(席は特に決まっていない)、友達と座ることにした。しかし、音楽はガンガンで会話なんかできないし、料理はアラブ式で最後に出るし(それまでアラビック・スイートなる甘〜いお菓子がテーブルには用意されていたけど)…。音楽の切れ目で友達と会話を少ししたが後はほとんど私は人間ウォッチングを楽しんでいた。大学では大学生しか見れなかったが、結婚式ではいろいろな年齢層の女性がいて、これまたおもしろい。

5−1.カタールの結婚式 〜「私、アバーヤ脱いだらすごいんです。」

しかしまぁ、若い女の子はとーっても綺麗。アバーヤで隠すのはもったいない。おもしろいのは、アバーヤで普段慎ましく一所懸命隠しているのに、結婚式ではうんとおめかししているのか、“あらあら、あなた背中丸見えじゃないの!!”(←おばちゃん風に)といったドレスを着ていたり、スリットも上のほうまで入っているドレスを着ていたりと、このギャップは、「なんじゃこりゃ?」状態だ。そういう女の子もいれば、かたや小さな子供を連れた若いお母さんは、それなりにおめかしをしているのかもしれないけど、こんなすごい化粧で子供がなぜ泣かない?ってくらいの厚化粧をしていた。太っているし、態度もふてぶてしく、しかも目の上のアイシャドウはぼってりと塗りたくっていて(“シャドウ”でもなんでもない状態)、昔のダンプ松本を思い出させるような人が沢山いたのにはただただ、唖然。結婚するとこうも変わるのか〜と思った。

5−2.カタールでの結婚式 〜ダンスの巻

会場は中央正面に大きなステージがあり、中央の入り口から花道みたいなものが設置されていてそれがステージへと繋がっていた。ステージ上には花嫁とその姉妹達などがいて、姉妹の何人かは花道の上で踊ったりしている。その踊っているのを見て、これがみんなが髪が長いとセクシーに見えると言っていた「ダンス」かぁー!!ベリーダンスみたいに腰を細切れに振るのもあるが、花道で激しく歌舞伎役者のように頭を八の字にぶるんぶるん振って長ーい髪の毛をバッサバッサさせながら踊っている人が数名いた。日本人の私から見たら、なんとも不思議な光景で正直な感想を言わせてもらえば、みんな(カタール人の女の子達)が言うほどセクシーなダンスではないっすよ〜、これって。そして、歌舞伎踊りをしている花嫁の姉妹に、周りの女の人は現金(紙幣)を頭から浴びせたりもする。なんだか反対に人を侮辱しているようにも見えるこの不思議な光景。でもこれが伝統なんでしょうね〜。

5−3. カタールでの結婚式 〜花婿のお出まし

そんな感じで結婚式は中央の花道で踊る花嫁の姉妹達以外は、盛り上がった様子もなく、踊っていない他のカタール人の女の人たちは、ただただ円卓のところで座って、つまんなそーに頬杖をついてボーッとしているだけ。
友達に、「花婿はいつ来るの?」と聞くと、「もうすぐじゃない?」という返事。1時間半くらいそんな調子で何にも結婚式自体に変化はなく、いい加減私のお腹も空いてきた。すると、なんだか会場がそわそわしだし、今までヒジャーブ(頭に覆うベールのようなもの)もアバーヤもはずしていた女性達の何人かがせっせとヒジャーブ、アバーヤ、ニカーブを付け始めた。
いよいよ、花婿とその兄弟達が花嫁のいるこの女性専用の披露宴会場に登場するらしい。若い女の子は何人かはヒジャーブすらも付けずにそのままでいる。私の友達もそのままでいた。「隠さなくていいの?」と聞くと、「この距離からは見えないわよ。」と。確かに私たちは花道からは離れたところに座っていた。でも花道で相変わらず歌舞伎踊りをしているお姉ちゃんたちは気にせずそのままだ。そして会場にいる女性達が、巻き舌で「ルルルルル…」と高い音を出し始め、花婿とその兄弟達が入ってきた。花婿は花嫁の隣に座る。兄弟たちの何人かは歌舞伎姉ちゃん達と一緒に踊り始めた(男性は歌舞伎じゃないけど)。花婿たちが入って来てしばらくすると、またもや会場の女性達がそわそわし始めた。みんな立ち上がって開かれたドアの所へ向かう。
そう、ディナータイムの始まり、始まり〜〜!

5−4.カタールでの結婚式〜いざ、夕食

ディナーはてっきり日本のホテルでやる披露宴のように席に運ばれてくるものを想像していたが、ここではビュッフェスタイルだったのにはちょっとガッカリ。時刻は夜の11時近くで、こんな時間に食べたら太るよー、と思いつつもお腹が空いていたので、私もビュッフェの場所へと向かうことにした。 すると...そこはもう戦場だった。 もちろん女性だけの戦場だ。 この状況を文字で表現するのがとても難しい。 皆さんの想像をはるかに上回るすごさなのだ。私はこんなにすごい女性だけの世界を見たのは生まれて初めてかも...。 ビデオ撮れるなら撮りたかった。みんな競いあうように食べ物に群がり、食べ物がこぼれようとなんだろうと誰も気にしない。 1人5枚くらいプレートを持ち、食べ物を山盛りにして(そんなに食べれるのかよー)、その場で絨毯に座って食べているおばちゃんもいた。 私は食べるのが大好きだし、その時はお腹も空いていたので「やっと食べれるー!!」と思ってワクワクしていたのだが、しばらくは食べ物を取るのも忘れて茫然とそのすごい光景を見て立ち止まってしまった。私も戦場のような場を潜り抜け、やっと無事に食べ物をお皿に取り、先ほどの披露宴会場の円卓にもどると、相変わらず音楽ガンガンで花道で踊っている。ステージ上では花嫁と花婿が座り、周りで親戚と思われる人たちが一緒にいたけど、これから何か新しいことが始まるわけでもなさそーで、何も変化はなし。
お客さん達の関心はすでに花婿とその兄弟にはなく、目下、「食べること」にあるらしい。しかし、ステージ上の人たちは、彼らなりに盛り上がっているようであった。食べている最中、人間ウォッチングをしてみたが、おばちゃん達もお姉さん達もみんな、小さい子供のような食べ方をしていた。ごはんはあちらこちらに散らかり、テーブルの下の絨毯までも。どうやって食べたらそこまで散らかせるんだろう??? 不思議だ。 食べ終わるころには各自さっさと帰途につく。私たちも食べ終わって一息ついてから帰ることになった。帰り際、ステージに久しぶりに目をやると、相変わらず内輪だけで大いに盛り上がっていた。この結婚式は一体なんだったのか??? 最初から最後まで不思議な結婚式。とても貴重な経験でした。ちなみに、この結婚式に誘ってくれた友達に、「この結婚式は誰の結婚式だったの?」と聞くと、「大学の友達のお兄さんの結婚式」だったそーな。要するに、彼女にとって友達のお兄さんは直接知っている人ではないし、そのお兄さんの結婚相手のことも知らない。つまり、全然関係のない人の結婚式、と言うことらしい。私なんてもーっと関係のない人だったのだけど。カタールでは結婚式というものは誰でも参加OKなんだそう。


6.おわりに

アラビア純子さんのホームページに図々しくも長々とカタールについて語らせてもらいました。企画して下さった純子さん、お忙しい中本当にありがとうございました。 ここでは私が過去4回行ったカタールで経験し、私が個人的に感じたことを正直に書くかせてもらいました。 私の思ったことが間違っているかもしれませんし、言葉が足りなく誤解を受けてしまうような文章があるかもしれませんが、どうか私の紀行文を読んで一面だけで解釈しないでほしいと思います。皆さんがもし、興味がありましたらあらゆる文献を読んだりして様々な角度から知っていってほしいと思います。 "Loving is knowing、愛することとは知ること " と言う言葉を聞いたことがありますが、愛する対象が私の場合は家族であったり友達であったり、そしてカタールであったりするので、カタールについて「知りたい」と思い、いままで旅を重ねてきました。この春から社会人となり、長い休みのとれない生活が始まったので会社を辞めない限りカタールに行くこともありませんが、いつかカタールに再び行くことを夢見つつ、毎日仕事を楽しんでいます。 最後に、アラビア純子さん、本当にありがとうございました。

by ちゃあ←ここをクリックするとちゃあさんの写真がみれるぞよ〜〜!


さて、「カタールを語る」いかがでしたかぁ? 普段、かいま見ることの少ないアラブ女性の姿をちゃあさんの目を通して語って貰いました。私も話には聞いたことがあるけど、実際には知らないことや、初めて聞いたことなどなど、いろいろ聞けてとても興味深かったで〜す。ちゃあさんには、執筆活動を急がせてしまってごめんなさいでしたが、みなさんも面白い話を聞けて良かったでしょ〜?ちゃあさん、ホントにありがとう〜〜!!「あまのじゃく」同盟結びます??オイラも相当のあまのじゃくだ〜いってな方はぜひ、お知らせくださいませ〜〜。