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仕様
構築予定
プロジェクトの遍歴
1994年の秋、東北大学天文同好会の三輪 俊暢は大学祭のために LA-1 と名づけた CCDカメラを作りました。
三輪さんは東北大学の天文学科の人間で、天文学科では何年か前から"盗み撮りくん"など、CCD カメラの自作を行っていました。
LA-1 は盗み撮りくんをベースに改良して作られました。
大学祭の時点では、LA-1 はファンによる空冷機構を持っているだけで、熱ノイズが多く長時間の露出には耐えませんでした。
大学祭が終わった後、LA-1 にそれまでの空冷機構に加えて2枚のペルチェ素子を取り付けそれまでの何倍もの露出に耐えるようになりました。
しかし、LA-1 はあくまで試作品で強度にかけ、ノイズが多く、遠くに車で出かけて撮影するとすぐにトラブルをおこし、開発の中心になった理学部屋上で撮影を行うのみでした。
そして私たちはもっと強度を持った新しいカメラの必要性を感じていました。
そのころ三輪さんが "The CCD Camera Cookbook: How to Build Your Own CCD Camera" という本を探し出してきました。
私たちはこれを参考に新しいカメラ LA-2号を作ることを決めて、そのためのチームを作りました。
予算に関しては、OBで宮城沖電気の松井聡さん(掩蔽観測などでも有名な方です)に完成後に渡すということで、お金を出してもらえることになりました。
最初は英文の Cookbook をセミナー形式でじっくり勉強することから始め、これに3ヶ月も費やしました。
1995年の4月にはCookbook の必要な箇所をひととおり学び終えて、設計に取り掛かりました。
- TI の TC245 という 340x240 ピクセルのチップを使っていて、212x240ピクセルの LA-1 に比べて60%もピクセル数が増えることになる。
- LA-1 は NEC のカラーの CCD 素子を感度を上げるためにモノクロとしてデータを扱って撮影していたのですが、表面にカラー用のフィルタがかかっているために赤の感度が極端に低く、赤い天体がほとんど写らない、三色分解合成ができないなどの問題がなくなる。
- LA-1 はアスペクト比(ピクセルの縦横の長さの比)が 1:1.375 で、後で正しく見えるように修正してやる必要があり、強拡大するとどうしても星が横方向にまのびしてしまっていたが、TC245ではアスペクト比は1:1。
- さしあたって動作することを目標に作られた LA-1 は根本的に耐久性にかけて、すぐに壊れた(蔵王の山頂で原因調査のため、LA-1 の本体をばらしたこともありました)ので、もっとコネクタまわりを強化して、強度をあげた。
- LA-1はカメラ部と本体が別になっているのに本体を支える方法がなく、鏡筒に本体をガムテープで固定しなければいけなかったが、カメラ部と本体を取り外し可能な一体型にした。
- 空冷機構の代わりに水冷にすることにより、さらなる冷却能力の向上を目指した。
- LA-1ではADC(Analog to Digital Converter)が8-bit(256階調)だったが、12-bit ADC(4096階調)を使う。
- 制御プログラムを拡張し、以下の3つの制御モードを持つことにより使い勝手を向上する。
- Double-Sampling mode
- 通常の撮影モード。
- Finfing mode
- 縦2x横3の6ピクセルを1ピクセルとして感度を高く、転送の早いモード。導入時に使われる。
- Focus mode
- 解像度を落とさずに画面の一部だけを使って、転送を早くするモード。ぴんとあわせをするときに使う。
- ペルチェと本体の電源系が別になっていたが、これを統一化することによる接続の簡略化。
- 安定化電源から直接電圧を変えていたペルチェに温度センサを取り付け温度制御を自動化する。
などなどいいことづくめで、期待はいやが上にも高まっていきました。
そして、11月の学園祭を目標に製作が始まりました。
9月には山本 真行が天文同好会のホームページを作り、CCD プロジェクトのホームページも作られました。
製作も大詰めになった10月には学園祭用の LA-1 の撮影も平行して進められており、近来なかった巨大彗星が多数回帰したおりでもあり、デビコ彗星(122P/1995)の LA-1 での撮影像がNASAのホームページに2点掲載されました。
95年秋の東北大学祭には、LA-2 は冷却機構が未完成ながら出展されました。
その後、冷却機構を取り付け、LA-2 の撮影会を行ったが、LA-1 に比べ何倍もの感度を持っていることが分かり、明るい天体ならすぐにサチってしまうので困るほどでした。
解像度もよく、LA-1 で2分露出の五枚コンポジット像とほぼ同等の像を 5秒露出で得ることができました。
これからの活動予定
LA-3号を作ります
これまでは、プロジェクトチームの主なメンバーは大学院生が多かったのですが、天文同好会の1、2年生を中心に作ることになります。
対応機材を増やす
LA シリーズは多くの制御コンピュータに対応する拡張を考えて、インターフェイス部を独立させてあります。しかし、現在は、NEC-PC9801noteシリーズか、EPSONの98互換ノートパソコンのローカルバスでしか使えないため、ATサブノートなどで使えるようにしたい。
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