memo back next ジョルジュ・バタイユ「不可能なもの」
「浅い眠りに陥った。                   



最初のうちは酔っぱらったような感じだった。       

寝入ることで世界の固さが眠りの軽さの前に屈服するように 

思われた。この皮肉な気楽さはなにひとつ改めはしなかった。

欲望の烈しさは、一種投げやりなかたちで中断されはしたが、

それを苦悩状態のなかに閉じこめる抑制から解放されて再び 

甦るのだった。                     



ところで眠りに陥ることはおそらく勝利の失敗した姿であり、

そこではわれわれの奪い取るべき自由が覆い隠される。崩壊 

した蟻塚のなかの蟻そっくりに、右往左往して逃げまどう私 

は、いかなる得体の知れぬ戦慄の犠牲に捧げられたのか。  

ひとつひとつの挫折は、この悪夢の世界では、それだけで、 

完全な死の体験である。」                


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