創造的研究を虐げ駆逐する不公正行為

(日本の基礎科学の進歩を阻害する不公正行為)

平成23年9月4日  虫明康人

本記事を作成して補足する理

自著「電波とアンテナのやさしい話第6・2節「日本の社会に受け容れられない創造性」において述べた内容の本質は、その後も改善されることなく継続しており、依然として、著者の創造的研究は、国を挙げての不当な仕打ちによって虐げられているのである。この状態に対する若干の具体例は、第6・5節と第6・6節で述べてあるが、第6・4節で述べた、不当な仕打ちの原動力となっている「不公正行為」についての記事を補足することは、その内容の理解のために必須の最重要事項であると考えられる。 (後にリンクを追加)

序文

  私の創造的研究は、1948年、即ち63年前に行った自己補対アンテナの創案とその定インピーダンス性の発見を発端とし、それを一般化した「自己補対の原理」の発見とその応用研究へと発展して、今日に到っている一連の研究である。

  この研究は可なり以前から世界的には評価されているにも拘らず、日本では不公正行為によって阻まれ、正当なる評価を受けてはいない。

  この状況を今まで私は、「この創造的研究は、国を挙げての不当な仕打ちによって虐げられている。」と表現して来たが、今回標記のような表題の下に、その不当な仕打ちの原点である不公正行為の形態を、分類して解説した補足記事は、下記の通りである。

1.創造的研究とは新知識の創出

2.基礎科学分野における研究成果の真否は何時でも何所でも検証可能

3.創造性を評価出来るのは知識の飛躍度に関する学識

4.意図的歪曲によって他人の研究成果を傷つける直接的不公正行為

5.共同研究者の特許出願と論文発表における不公正行為

6.メディアによる誇大宣伝的不公正行為

7.事実を歪曲した虚偽の情報をメディアによって流布する不公正行為

8.不公正行為の表と裏

9.創造的研究を虐げる不公正行為の排除には抜本的改革が必須

10.頭脳流出該当者の活躍

補遺

1.創造的研究とは新知識の創出

 創造的研究とは、従来の知識群の中には存在しなかった、全く新しい知識を創出した研究であって、新しい学問技術体系の突破口(Breakthrough)を形成するものである。一般に、学問技術の進歩は、創造的研究の成果に基づくものであって、研究の創造度が高い場合には大きな波及効果(Impact)があり、学問技術に飛躍的な進歩と、社会への大きな影響をもたらすことになる。したがって、周知の知識の延長線上にあるものとか、複数の知識の複合による研究成果等は、創造的研究成果の範疇には入らない。また、この自然界に既に存在していたものを、初めて見つけたという、単純な発見とも異なる。併しながら、どの研究成果が学問技術の飛躍的な進歩に大きく貢献したかを特定することは、必ずしも簡単ではない。

2.基礎科学分野における研究成果の真否は何時でも何所でも検証可能

 基礎科学分野における研究成果は、純粋であるので、その真否の判別は単純明快である。したがって、その成果の学術的真否の判定は、普遍的であって、その結論は歴史的にも地域的にも不変であり、常に検証可能である。歪曲とか虚構に基づく不当な解釈は、容易に見破ることが可能である。

3.創造性を評価出来るのは知識の飛躍度に関する学識

 或る特定の研究成果が、どの程度の創造性を有するかの判定には、その成果が得られた時点での他の研究成果との比較検討と、その後の波及効果と飛躍度などの検討を行う必要がある。したがって、その分野の専門家でない限り判定は必ずしも容易ではない。その為、専門家以外の大多数の部外者にとっては、不正行為に基づく専門家の不当な判定があったとしても、それを正しいものと認識せざるを得ない状況となり、多数決の原理などは成立しないことになる。判定に関与した専門家の、公正さと信頼度こそがその判定の根幹となる。

4.意図的歪曲によって他人の研究成果を傷つける直接的不公正行為

 専門家が錯誤によって誤った判定を行うこともあり得るが、それは無責任極まりないことで、専門家としての資格は全く無い。それよりも更に悪辣な問題は、意図的に承知の上で歪曲することによって、不当な判定を行うという不正行為である。例えば、意図的歪曲による虚構のような虚偽の根拠に基づいて、特定の業績と当該研究者を不当に落としいれる様な、明らかに名誉毀損に相当する不正行為である。その場合の不正行為の表面上の形態は、権力の乱用などであるが、その裏には多かれ少なかれ私利私欲とか、利害関係が潜むので、取り扱いは単純ではない。

5.共同研究者の特許出願と論文発表における不公正行為

 専門分野の後継者養成は、通例、共同研究の形で行われる。したがって、特許出願とか論文発表を研究担当者達の連名で行えば、全く問題は無い。併し、共同研究者中の一人が、特許出願とか論文発表を当人だけの単独名で内蜜に行うと、それは明らかに不正行為である。現実には、指導者が後継者養成の名の下に、不当な理由付けによって、後継者の業績を搾取した実例は周知のことである。

6.メディアによる誇大宣伝的不公正行為

 これは、ある特定の個人の業績を、別人の同類の業績には直接触れることなく、素人目には紛らわしい、虚構とか歪曲などに近い曖昧な根拠に基づいて、不当に高く誇大評価し宣伝するという、不公正行為である。このような行為によっては、他の特定の別人だけが傷つくという事態にはならないが、その周辺分野の多数の専門家は、当該者個人への突出した不公平な誇大評価の犠牲となって、不利益を招いて被害を受けることになる。この種の不公正行為の原動力には、被宣伝者自身とか、近い関係者が関わっているものと疑われる。メディアの諸行為は常に公正であるという、保証は無いことを知るべきである。

7.事実を歪曲した虚偽の情報をメディアによって流布する不公正行為

 年月の改ざん等によって、意図的に歪曲した虚偽のシナリオ等を捏造し、他人に金品その他を供与して、その内容をメディアに公表させることにより、私利を得ると共に誰かを傷つけるという不公正行為である。その際、複数の者が呉越同舟の形で協力したり、自己顕示欲過剰者とか脛に傷のある者が絡んだりすると、その全体像が非常に複雑で解り難い不公正行為となる。そのため、一般大衆はそのメディアの情報を何の疑いも無く信ずることになる。併し、事情に詳しい第三者が検討すると、改ざんその他による歪曲は容易に見破ることができる。

8.不公正行為の表と裏

 先に第4項で、不公正行為の表面上の形態としての権力の乱用について触れたが、その際の権力者とは、政治家、官僚、大組織の幹部、組織の上司、などが主なものであろう。このような場合には、その裏には多かれ少なかれ私利私欲とか、利害関係が潜むものと考えられる。更にその裏底には、不公正行為の実行者との連携が疑われる国家権力が見え隠れすることもある。そのため、判断基準の尺度が、あるべき姿の物差しから、強権によって歪曲されることになり、得られた結果は、社会が望んだ真の目標から大きく外れていたという事例は、幾つか記憶に新たである。

 なお、上記の不公正行為の何れにもあり得る訳であるが、特に悪辣なのは、人間関係の機微を悪用して、それを公正な行為に見せかけた卑劣な不公正行為である。

9.創造的研究を虐げる不公正行為の排除には抜本的改革が必須

 以上、例示したような様々な不公正行為があるが、それらによって、最も大きな被害を受けるのは学問技術の進歩であろう。結局、不公正行為は基礎科学分野に於ける創造的研究を虐げる大敵となり、延いては国の発展への寄与を妨害するものとなるのである。このような不公正行為こそ、日本の基礎科学分野から絶対に排除すべき大問題であって、不公正行為の排除のためには、体制の抜本的改革が必須である。極めて長期間に亘る、国を挙げての不公正行為への疑惑は、国家権力への不信感を募らせるばかりである。お題目を唱えただけでは、その疑惑は払拭出来なかった。また、不公正行為を是認し、正当化している人達によって構成されている組織、或いはグループは、そのような手法の恩恵を受けた者を後継者として選ぶことにより、不公正行為を是認する体質を、連鎖的に連綿と保持し続けるので、構成員自身による自己改革は、今後もあり得ないものと考えられる。

10.頭脳流出該当者の活躍

約半世紀前のことであるが、外国への頭脳流出と云われた日本人達は、不当な仕打ちによって虐げられることが少なく、正当な業績評価を甘受出来る環境にあった。その為、外国に居を移して研究活動を続けていた日本人が、世界的に非常に優れた研究成果を挙げたという実例については周知の通りである。併し、頭脳流出が頻発したのは、第二次世界大戦の直後のことであって、理科系離れの進行した今日では、そのような現象は既に過去のものとなっている。今後は日本国内在住者にも活躍が期待できるよう、環境を改善すべきである。頭脳流出となることなく、日本での職場の要請を受けて帰国し、極めて長期間に亘る国を挙げての不当な仕打ちによって、虐げられているという実例があるのは残念である。

補遺

 上述の不公正行為に関係した疑いのある幾つかの組織と、複数の個人については、公正なる調査を行い、その具体名を暴露して公表することにより、体制の抜本的改革の推進に資するべきである。

 また、不公正行為の結果として、国民の貴重な税金の無駄づかいが発生していないかどうかを検証する必要がある。

この頁のはじめ 日本の社会に受け容れられない創造性」
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